プロテインを考える: その適切な摂取量、種類、タイミング

今回はプロテインについて考えてみよう。プロテインはトレーングの前後に欠かせないが、最大限の効果を得るために、その種類と特長、適切な摂取タイミング、および、摂取量について考えおく必要がある。

種類と特長

・ホエイ
ホエイプロテインは、牛乳の中に含まれるホエイタンパク(乳清タンパク)と呼ばれる成分を抽出したプロテインである。
ホエイタンパクは、体に吸収されやすく、1~2時間程度で血中にアミノ酸として取り込まれるため、トレーニング直前・直後などの時間帯に糖質を含むドリンクに溶かして飲むと効果的である。
一方、非常に早く人体に吸収されるため、一度に多量に摂取しすぎると、エネルギーが余り、脂肪に変換されやすくなる。また、吸収の遅いプロテインと比較して、その持続時間が短い。

・カゼイン
カゼインプロテインは、ホエイプロテインと同様に、牛乳から作られるプロテインである。牛乳に含まれるタンパク質のうち、約80%はこのカゼインプロテインである。
カゼインプロテインは、ホエイプロテインと比較して、消化・吸収に時間を要するため、運動直前や直後などのタンパク質補給には不向きである。
一方、吸収に時間が要することは、長時間タンパク質を補給すること意味し、満腹感も得やすく、食事の合間や運動しない日の栄養補給、就寝前に飲むプロテインとして有用である。

・ソイ
ソイプロテインは、植物性のタンパク質を豊富に含む、大豆を原料としたプロテインである。
大豆タンパクは、カゼインプロテインと同様、分解・吸収に比較的時間を要するため、長い時間体内に留まる。こちらも満腹感も得やすく、長時間効果が継続する。
大豆プロテインに含まれる「イソフラボン」は、女性ホルモンに構造が似ていることから、女性らしい体を保つために最適なプロテインと言われている。また、大豆タンパクのホルモンバランス改善効果には、前立腺肥大や前立腺ガンを防ぐ効果、過剰な男性ホルモンの働きを抑えるため薄毛を防ぐ効果もあると言われている。

・エッグ

エッグプロテインは、卵の白身のみを原料とするプロテインである。
卵に含まれる「アルブミン」というタンパク質は、人間の身体にとって非常に利用しやすいタンパク質であるため、体の組織に変換されやすく、筋肉増強時に最適である。
牛乳や大豆原料のプロテイン比較して、脂肪分をほとんど含んでおらず、人間の体内では合成されない必須アミノ酸であるBCAA(分岐鎖アミノ酸:バリン、ロイシン、イソシロシン)含有量も、ホエイに次いで2番目の高さである。
一方、値段は高めで、吸収性はホエイプロテインに比べると若干劣る。

プロテインマニア プロテインの選び方&効果的摂取方法

摂取タイミング

1. 運動後
「運動後45分間以内」にプロテインを取ることで、筋肉へ送られるアミノ酸が3倍までアップすると言われている。これは、運動後に、激しく活動した筋肉が栄養補給と回復を始めようとしているためである。運動後には「ホエイプロテイン」を摂取したい。吸収スピードが早いためである。さらに、炭水化物を一緒に摂取することで、より効果が高まるだろう。炭水化物を摂取すると、インスリンが分泌される。インスリンは筋肉の成長に欠かせないタンパク質やテストステロン(男性ホルモン)を筋肉中に送り込む重要な役割を担っている。

2. 就寝前
寝る間には、たんぱく質をゆっくり補給してくれる「カゼイン」や「ソイプロテイン」を摂取しよう。就寝時には、筋肉の成長を助ける成長ホルモンが分泌される。この成長ホルモンを活かすためには、筋肉の材料となるプロテインが必要となるためだ。

3. 朝食時
朝食時には、「ホエイプロテイン」や「カゼイン」を摂取しよう。起床時は、就寝前に取ったプロテインの効果時間が切れて、カラダが新たなたんぱく質を求めているためである。

プロテインの摂取タイミング – ウィダー

適切な摂取量

運動後にたんぱく質を摂取する理由は、筋肉の補修にアミノ酸が必要になるためである。しかしながら、補修は同時にエネルギーを必要とするため、エネルギーの元となる炭水化物も摂取する必要がある。そのバランスは、炭水化物:タンパク質 = 3:1 とされている(図5.1)。

図5.1 http://www.weider-jp.com/protein/protein_column/protein_column_11.html より引用

炭水化物とたんぱく質の最適なバランスを理解したあとは、自分の体重に照らし合わせて必要な炭水化物とタンパク質の量を計算しておこう。トレーニングのあとに適切な量を摂取する必要があるためだ。1日に必要なたんぱく質・糖質量(g)は以下の数式から求められる。

y = ax

y = 1日に必要なたんぱく質・糖質量(g)
a = 自分の体重(kg)
x = 体重1kgあたりのたんぱく質 or 糖質の必要量(g)

体重1kgあたりのたんぱく質 or 糖質の必要量は、図6.2-6.3を参照してほしい。筆者の体重を仮に60kgと仮定すると、増強期には、
60 x 1.6-7 = 96-102g
のたんぱく質を摂取する必要がある。

また、糖質については、有酸素運動後には、
60 x 7-12g = 420 – 720g
の糖質を、無酸素運動直後には、
60 x 1-1.2g = 60-72g
の糖質を摂取する必要がある。


図5.2 http://www.weider-jp.com/protein/protein_column/protein_column_26.html より引用


図5.3 http://www.weider-jp.com/protein/protein_column/protein_column_26.html より引用

今回は、プロテインの種類とその特長、摂取タイミングと適量、さらには、糖質との関係性についてまとめた。より効率的、精度の高いトレーニングとその効果を期待するためには、プロテインを理解し、適切に摂取することが重要だ。

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