環境作りとプロテインの準備が終わったらいよいよ実際の運動だ。ここから数回にわたって、無酸素運動、および、有酸素運動に関するトピックを扱いたい。まずは、無酸素運動、つまり、筋力トレーニングだ。
筋力トレーニングを実施するにあたって、最も重要なポイントの1つが負荷設定だ。トレーニングの目的に合わせて、適切な負荷を設定することで、最大限の効果を得られる。逆にいえば、適切な負荷に関する知識がなければ、期待する効果を得られないということだ。
適切な負荷を考えるにあたってRMという概念を導入したい。RMは、「Repetition Maximum」の略で日本語では「反復最大負荷」と呼ぶ。つまり、一定の負荷強度で繰り返し実施可能な運動回数を意味する。例えば、10RMは、関節の全可動域にわたり10回反復してできる最大の負荷量を指す。
次に、負荷とトレーニングの目的、これら2つの関係性を理解する必要がある。筋力トレーニングの目的は、筋力、筋肥大、筋持久力の3つに分類できる。負荷強度ごとの効果と反復回数については表6.1を参照してほしい。
表6.1 筋力発揮水準と効果、RMの関係 (http://shimoi.iuhw.ac.jp/lec_MSex_4.pdfより引用)
負荷の強度(%) | 効果 | 反復回数(RM) |
---|---|---|
100 | 最大筋力 | 1 |
90 | 最大筋力・筋肥大 | 3-6 |
80 | 筋肥大 | 8-10 |
70 | 筋肥大 | 12-15 |
60 | 筋持久力 | 15-20 |
50 | 筋持久力 | 20-30 |
30-40 | 筋持久力 | 50-60 |
例えば、筋力と筋肥大が目的であるならば、3-6回ほど実施できる負荷で目的の部位を鍛えることが望ましい。筋肥大が目的であるのに、プッシュアップを50回をこなしても単に筋持久力が上がるのみで、目的に合った効果は得られない。
負荷とトレーニングの目的の関係性を把握したならば、次は自分の1RMを把握する必要がある。1RMは、ジムや自宅で実際に1回だけ上げられる負荷である。例えば、仮に、ベンチプレスを1回だけ100kg上げられるならば、1RM = 100kgである。
1RM以外のRMを出したい場合、RM係数を用いて算出することができる(表6.2)。先の例と同様に、筋肥大と筋力アップが目的ならば、5RMのトレーニングを実施するとして、係数が87%であるから、
5RM = 100(kg) * 0.87(10RMの係数=87%) = 87kg
となり、87kgの負荷で、5回ほどトレーニングを行えばよい。
表6.2 RM換算表 (http://www.geocities.jp/treroad/rm.htmより引用)
反復回数(RM) | RM係数 |
---|---|
1回 | 100% |
2回 | 95% |
3回 | 93% |
4回 | 90% |
5回 | 87% |
6回 | 85% |
8回 | 80% |
10回 | 75% |
12回 | 70% |
15回 | 67% |
一方、1回の最大値を出すよりも10回以内の回数がこなせる負荷を選び、トレーニングを実施した後に、その回数をベースに1RMの辺りを算出することもできる。例えば、60kgの負荷で8回こなせたとする。1RMを算出するためには、
1RM = 60 * 0.8 (8RMの係数=80%) = 75kg
となる。
ここから5RMを算出するには、先ほどと同様の計算式を用いて、
5RM = 75kg * 0.87(10RMの係数=87%) = 65.25kg
となる。
次回は、トレーニングを実施するスピードとインターバルについて説明する。