引き続き、アンチエイジングの2つの実現要件(活性酸素のダメージを最小限に抑える、ホルモンバランスを整える)のための5つのアプローチを順に紹介していく。今回は、最後いよいよアプローチ、「5. アルカリ性の食品を増やす」だ。
アルカリ性食品と酸性食品
食品は、酸性とアルカリ性に区分できる。酸性食品が多過ぎ、アルカリ性食品が少ない場合、身体の酸化が進み、老けやすく、太りやすく、疲れやすくなってしまう。がんなどの病気や老化の引き金となるのは活性酸素による身体の酸化であるためである。また、酸性食品を摂取し過ぎると、その酸から内蔵を守ろうと内蔵脂肪がつきやすくなるためである。しかしながら、多くの食品は酸性のため、アルカリ性食品の摂取を積極的に増やさなければバランスが取れない。
表1. アルカリ性食品と酸性食品
アルカリ性食品 | 酸性食品 |
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野菜、大豆、レンズ豆、味噌、納豆、豆腐、発酵食品、きのこ類、そば粉、海藻、アーモンド、くるみ、ゴマ油、ココナッツ油、エキストラバージンオリーブオイル | 肉、ハムやソーセージなどの加工食品、魚、卵、穀物、じゃがいも、とうもろこし、小麦粉、砂糖、人工甘味料、牛乳・乳製品、ドライフルーツ、コーヒー、紅茶、ビールやワインなどのお酒、加工された植物油、トランス脂肪酸を含むマーガリン、炭酸飲料などの清涼飲料水、冷凍食品や惣菜などの加工食品 |
アルカリ性の果物と酸性の果物
果物には酸性とアルカリ性のものがあるため、果物好きの方は、アルカリ性を選択して味わうとよい。グリーンスムージーに入れる果物もアルカリ性のものを積極的に選択しよう。
表2: アルカリ性の果物と酸性の果物
アルカリ性の果物 | 酸性の果物 |
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グレープフルーツ、レモン、ライム、みかん、アボガド、ベリー類(ラズベリー、ブルーベリー)、ココナッツ、サワーチェリー、パパイヤ、キウイ、パイナップル、 | オレンジ、イチゴなど食べた時に甘みを感じるもの |
骨を弱める牛乳
酸性食品がよりダイレクトに老化を進めることがある。これは、酸性食品を摂り過ぎると、骨粗鬆症になりやすいことに関係している。骨粗鬆症の予防のために、牛乳・乳製品からカルシウムを摂取しようとするヒトは多いだろうが、酸性食品である牛乳、乳製品を摂取しすぎることで、骨粗鬆症のリスクを高めてしまうのである。
その主たる原因は2つ。第1に、脳は体内が酸性に傾き始めると、近くにあるアルカリ性のものを取り出して、ph値を整えようとする。このアルカリ性のものが骨に含まれるカルシウムである。第2に、牛乳・乳製品が含むカルシウムは、ヒトには利用されにくいという問題もある。骨を作るためにはマグネシムが必要とされるが、牛乳に含まれるマグネシウムはカルシウムの1/10以下のため、余分なカルシウムは排泄されてしまうのである。
なお、ハーハード大学の研究によれば、30-55歳の女性看護師約78,000人を12年間追跡調査した結果、毎日コップ2杯以上の牛乳を飲むグループと牛乳を飲む回数が週1回未満のグループとを比較した結果、グループ間で骨折率に有意差は認められなかったことがわかっている。
では、牛乳の代わりに豆乳を飲めばよいのだろうか?実はそうではない。大豆には、栄養素の吸収を妨げる成分(アンチニュートリエント、反栄養素)が含まれており、これを取り除くためには、発酵させる必要がある。発酵した味噌、納豆にはこの反栄養素は残らないが、水分を多く含む豆乳や豆腐には残ってしまう。したがって、栄養の吸収が阻害されてしまう可能性があるのだ。